在宅血液透析(HHD:Home Hemo Dialysis)とは、医療施設の管理のもとで患者さん自身が自宅で血液透析を行う治療法です。
自宅に必要な機械を設置し、介助者の協力を得て、準備、穿刺から返血などのすべての操作を行います。自宅で自分の生活にあった時間に透析を行えることが最大のメリットであり、また十分な透析を行うことでより元気に長生きすることが期待できます。
在宅血液透析の特徴FEATURE
1十分な透析を行うことで良好な体調を維持し、より元気に長生きすることが期待できます。
- 施設透析とは違い透析回数に制限がないため、こまめに透析を行うことが可能となり、体調の変動を少なくすることができます。
- 食事制限を緩やかにすることが可能となり、栄養状態が改善されます。 高血圧や貧血、かゆみなどの改善が見込まれ、合併症のリスクが少なくなります。
2自宅で自分の生活スタイルに合った時間に透析を行える事が最大のメリットです。
- 家族や友人と過ごす時間を持ちやすくなります。
- 透析のために仕事の時間を制限する必要がなくなります。
- 通院の時間が少なくなります(月に2回の受診は必要です)。
3必ず介助者の方が必要です。
- 安全に治療を行うため、一人で在宅血液透析を行うことはできません。
4自宅の改修費用と光熱費がかかります。
- 治療に必要な電気代、水道代(おおむね1~2万円)がかかります。
- 立地条件や透析を行う場所にもよりますが(1階か2階か)、数万円~必要となります。公的補助はありませんので患者さんのご負担となります。
開始までの流れFLOW
- 1面談
- 介助者の方も一緒に主治医の診察と面談を行います。疑問、不安などがありましたらお気軽にお尋ねください。
- 2ご自宅の下見
- 実際に透析をされる場所について機械メーカー、工事業者とともに自宅の下見をさせていただきます。
その際に改装の必要性や材料の保管場所等についてもご相談させていただきます。
- 3トレーニング
- 介助者の方とご一緒に患者さんにあったペースで、安全に在宅血液透析を行うために必要な知識と技術を習得していきます。
終了時には実技と筆記のテストを行い、必要であれば追加のトレーニングを行います。
- 4機械設置
- 在宅血液透析の開始日が決まったら、ご自宅に機械を設置して試運転と消毒を行います。
必要な物品についてもこの時期にお届けいたします。
- 5在宅血液透析の開始
- 開始から3日間は看護師、臨床工学技士が準備から終了まで立ち合います。
それ以降もご希望であればスタッフが立ち会うことは可能です。
よくあるご質問FAQ
在宅血液透析について、皆さまからよく寄せられる質問を集めました。
その他に不明な点・不安な点がございましたらクリニックまでお気軽にご相談ください。
在宅血液透析は誰でもできますか?
いくつかの条件を満たせば可能です。
在宅血液透析は訓練をすれば基本的には安全な治療ですが、医療者不在の状況で行うため、緊急時の対応などは病院での治療と比べてリスクが高くなります。そのため以下のような条件が必要となります。
- 自己管理が良好で安定した血液透析が行えること
- 重篤な合併症がないこと
- 介助者の方が確保でき、同意していること
- 教育訓練の内容を習得することができること
一人暮らしでも在宅血液透析を行うことはできますか?
認めておりません。
透析中の安全を確保するためには介助者の方の協力が必要です。
一人暮らしでの在宅血液透析は認めておりません。
介助者は何をするのですか?
透析装置の操作などを行います。
介助者の方は患者さんとともに透析装置のアラーム対応や終了時の操作に関する訓練を受けていただきます。
また患者さんの血圧低下時などに必要な急速補液や緊急返血などの手技も習得していただきます。
穿刺(せんし)は誰がするのですか?
患者さん自身です。
介助者の方が医師、看護師、臨床工学技士などの資格をお持ちの場合は介助者の方が穿刺をすることも可能です。
穿刺に不安を感じられる患者さんは多くいらっしゃいますが、繰り返し訓練することで習得できます。
透析スケジュールはどうやって決めればいいですか?
透析を2日以上空けないようにします。
透析を2日以上空けないことを条件にしており、透析スケジュールについては患者さんの生活に合わせてご自分で決めていただきます。
睡眠時に透析を行うオーバーナイト透析の方も多数いらっしゃいます。
自宅の改修は必要ですか?
必要です。
電気関係ではアース付きコンセント(3Pプラグ用)の設置や、装置用単独ブレーカーの設置、水道関係では給排水設備の整備などが必要になる場合もあります。
改修費用は必要ですか?
必要です。
立地条件や透析を行う場所にもよりますが(1階か2階か)、数万円~必要となります。公的補助はありませんので患者さんのご負担となります。
維持費はどのくらいかかりますか?
おおむね1~2万円です。
水道光熱費以外は通常不要です。水道光熱費は各自治体により異なりますが、1~2万円となります。
賃貸マンション、借家でも在宅血液透析は可能ですか?
可能です。
賃貸のご家庭でも在宅血液透析を行うことは可能です。
ただし貸主の方や管理組合などとの調整を事前に行う必要があります。
トレーニングの内容は?期間はどのくらいかかりますか?
3か月程度は必要です。
通常、介助者の方と一緒に透析の準備から機械の取り扱い、穿刺から開始の機械の操作、返血操作などをスタッフとともに行います。
訓練期間は個人差がありますが、週3回の訓練で少なくとも3か月間程度は必要です。
透析中にトラブルが発生したときはどうすればいいですか?
クリニックにご連絡下さい。
24時間、365日電話対応の体制をとっておりますので、トラブルの際はいつでも電話対応が可能です。
その他メールなどでも連絡が取れるような体制になっております。
機械の点検は?
臨床工学技士が1か月ごとに伺います。
1か月ごとに臨床工学技士が機械の点検と透析液の水質検査に伺います。
また1年ごとに機械メーカーが定期点検に伺います。
なお定期点検以外でもトラブルが発生した際には機械メーカーとクリニックのスタッフが修理に伺います。
スタッフの訪問は?
年に一回伺います。
透析時間に合わせて自宅に訪問します。
何か不安な点やご質問などがありましたらお尋ねください。
物品は配送してもらえるのでしょうか?
配送します。
在宅血液透析に必要な材料(血液回路、ダイアライザー、透析液など)は無料でご自宅まで配送します。
内服薬や記録用紙などについては受診時にお持ち帰りいただきます。
受診はどのくらいの頻度で必要ですか?
2週間に1回です。
在宅血液透析開始後は2週間に1回、クリニックにて主治医の診察を受けていただきます。
体調が悪い日の透析はどうすればいいですか?
透析を始める前に、まずはクリニックまでご連絡下さい。
安全に血液透析を行うために、その日は透析を中止していただく場合もあります。
このページでは、一部簡略化して記載しております。実際に在宅血液透析を導入される際には、主治医との面談時に各事項についてご相談の上ご確認ください。